地質学用薄片標本の製作

地質学用薄片標本をトリムし、ラッピング、研磨するための広範囲にわたる多目的システム

はじめに

設立当初からロジテック社は、高品質の地質学用薄片標本を製作するための精密機械システムの開発製造に専念してきました。

何年も掛けて、数多くのシステムが造るものに応じて開発されましたが、基本プロセスは根本的には変わっていません。機械システムは、お客様独自のご希望に合わせて、多くのラッピングや研磨の標準装置に、適切なアクセサリーを組み合わせて構成されます。

本章は、ロジテック社の精密装置と地質学用薄片標本製作工程との関わりについて概説します。

標準的な加工工程は勿論、より難しい材料を対象とする特殊技術も数多く取り上げています。

薄片標本の製作

一般に、標準的な薄片標本の製作工程は次のような基本工程に分けられます。

  1. 素標本のスラビングとトリミング
  2. 柔らかく、ポーラス、或いは脆性材質の場合は含浸(オプション)
  3. 切った材料第一面のラッピング
  4. 厚み均一なスライドの作成
  5. 用意したスライドに試料を接着
  6. 接着した試料を薄く削る
  7. 所定の薄さ迄試料をラッピング
  8. 試料の研磨(オプション)

以下、これらの操作を詳述します。

精密加工装置

上述の各製作工程に対応して、ロジテック社は、面倒で手間の掛かるラッピングの手作業を廃し、適正時間内に、厚み均一で、結晶の欠けや割れが無く、ざらつきの少ない高品質な製作物を自動的に作れる適切な装置をご提供します。

単一装置か、総合機械システム等、ご要求内容により装置には多くの組合せ方やバリエーションがあります。

ソー

工程1と6:システムにより推奨されたソーが多数あります。
GTS1切り出し・トリム用ソーは、殆どのシステムと組み合わせて使われています。
このダイヤモンド刃のソーは、塊材をトリムし、マウントした試料を(28x48mmスライドなら12個まで一度に)薄くする、両方の工程に使えます。
152x102mm迄のスライドが使える特殊なチャックフェースもあります。
コンパクト40システムでは、CS30ソーが標準で付きます。これは素岩をトリムし、28x48mmスライドを一度に2個扱えます。
代りに、モデル15ダイヤモンド・ワイア/ディスク・ソーや、AXL1精密アニュラー・ソーは、よりデリケートな材料に使われます。

真空含浸ユニット

工程2:IU30真空含浸ユニットは、試料を含浸するのに最適です。
試料室とレジン室が分かれており、レジンポット寿命が気になる時間的制約無しに試料のガス抜きを十分に行えます。それから必要に応じてレジンを入れます。
小型のシングル・チャンバー型エポバック・ユニットもコンパクト40のオプションにあります。

ラッピング装置

工程3と7:1ワークステーションのPM5、3ワークステーション迄あるLP50精密ラッピング・研磨装置は、多くのロジテック社機械システムの基準になっています。
PM5オートラップとLP50自動精密ラッピングマシンは、ラッピング・プレート平坦度制御という重要な追加メリットを提供します。
CL40ラッピングマシンは標準的に、小規模用途にコンパクト40システムとセットで供給されます。

精密ラッピング治具

工程4と7:殆どのシステムではPLJ2精密ラッピング治具が使われます。
これらの治具は、28x48mmスライドを一度に6個扱えます。
代りにPLJ7大型精密ラッピング治具は、152x102mm迄のスライドのラッピングに使えます。
CJ30ラッピング治具はコンパクト40システムとセットで供給され、26x76mm迄の試料を一度に2個扱えます。

研磨装置

工程8:WG2研磨システムは、PM5標準型、PM5オートラップ、PM5オートポル、PM5オートラップ/ポル、シリーズのどれか一台と互換でき、WG2は独自機能として、研磨時間を短縮し、試料の仕上げ品質を上げる回転研磨ヘッドを使えます。
コンパクト研磨40システム用WG3研磨ヘッドにも同様の機能がありますが、小規模向きです。

処理能力

ロジテック社のシステムは、必要な出力を勘案して最適なものをお選び頂けます。
ここには、薄片試料を少量しか作らない場合から毎週220個作る場合を記載致しました。

システム 装置 28x48mm 26x76mm 51x76mm 152x102mm
標準 含浸 標準 含浸 標準 含浸 標準 含浸
RL1A/RS1A LP50オート 102 66 68 44 32 22
RL2A/RS2A LP50オート 168 120 112 80 56 38
RL3A/RS3A LP50オート 222 144 148 98 72 48
TS1A LP50オート 66 44
TS2A LP50オート 112 76
AL4 or AS4 PM5
auto-lap
102 66 68 44 32 22
コンパクト40 CL40 30 25 20 15

上記の自動機に加え、ロジテック社には、広いレンジのLP50とPM5装置があります。

PM5オートラップと標準型PM5ラッピング/研磨装置システムは、標準の28x48mm薄片を週に約100個という加工能力を示します。もし100個以上の能力が必要な場合は、LP50オートとLP50オートラッピング/研磨装置シリーズなら、週に約220個まで薄片産出量を増加できます。
これは大型のLP50では、需要量に応じて1~3個のワークステーションを使用できるからです。
ラッピング・プレート平坦度制御の出来る機械では、トータルの処理時間を大幅に減らせるメリットがあります。
薄片の最適ラッピング/研磨をご希望でしたら、PM5オートラップ/ポルに自動ラッピングとプレート平坦度制御を組合せて、最高品質の薄片を確実に作る事が出来ます。
PM5とLP50に加え、ロジテック社は小規模用途のお客様向けに、コンパクト40薄片作成システムも用意しています。

上の表には、作業者の能力や能率にもよりますが、週当たりの最大産出量が載せてあります。
RLおよびRSシステムの標準の試料保持固定具は、全てPLJ2精密ラッピング治具です。
CJ30ラッピング治具はコンパクト40薄片製造システムの一部として使われます。
RSシステムは、同等のRLシステムにGTS1切断/トリムソーを付けたものと同じです。

技術移転

ロジテック社は、お客様がロジテック社の機械システムを使って高品質の薄片試料の作成に協力します。
ロジテック社は、地質学や他の関連材料の標本作製技術の知見と経験を積み上げてきました。
是非これをお客様と共有し、最良の成果を得たいのです。
それらを実現するためロジテック社は、コンパクト40薄片製造システムを除き、ご購入頂いた機械システムについて総合的な技術移転を行います。
これがスコットランドの当社ラボでの3日間研修コースです。
このコースは、システムの操作、整備、メンテナンス等の全てをカバーし実際的、集中的で、お客様が自分のラボで必ず成功するように組まれています。

カスタマーサポート

コンパクト40薄片製造システム

カスタマー・サポートは、ロジテック社直接、またはロジテック社で訓練を受けた技術スタッフの居る世界中のディーラー網から受ける事が出来ます。
これにより、スコットランドに基地を持つ技術サービス・センターにサポートされた高レベルのサービスを地元で受けられます。

ロジテック社の機器には全てお買いあげ後12ヶ月の保証が付きます。
保証期間中に必要となった交換部品や、修理は無償です。

標準加工工程

01.スラッビングとトリミング

01.スラッビングとトリミング

試料が堅固で壊れにくい場合は、まず素塊をスライドマウントに適するサイズにトリムします。
出来たスライスはスライドに合わせて裁断、トリムされます。この写真は岩塊がGTS1ソーでトリムされているところです。

02.含浸(必要に応じて)

02.含浸(必要に応じて)

材質が柔らかく脆弱で壊れやすい場合は、まずレジンで含浸します。
左図のIU30では、右のチャンバーで必要な時間、試料のガス抜きを行います。
次に左のチャンバーでレジンのガス抜きが行われ、真空に保たれた試料に注がれます。
レジンが冷えれば工程1でトリムできます。

03.第一面のラッピング

03.第一面のラッピング

岩石の標準薄片は30μmの均一な厚みです。
次工程でスライドに接着する参照面を平坦にするため、工程の1と2で準備したチップの一面を、調整リング内で鋳鉄製溝付ラッピング・プレートに3.5kgの錘(おもり)と圧力ブロックを載せて、平らにラップします。
左図は、PM5精密ラッピング/研磨装置ですが、LP50やCL40でも行うことができます。

04.厚みが均一なスライドを準備

04.厚み均一なスライドを準備

試料を保持するガラス・スライドは、既知の厚みで表裏面が平行でなければなりません。
PLJ2やPLJ7、または必要な厚みになるとラッピングが自動停止するようにセットできるCJ30で、片面をラップして平行にします。標準のPLJ2治具は、26x76mm、28x48mm、51x76mm、110x76mm、30x45mm、45x60mm、または60x90mmのスライドを仕様装置に対応して保持できます。
標準PLJ7治具は、152x102mm、または76x51mmのスライドに使えます。
CJ30は、28x48mm、または26x76mmのスライドに使えます。

05.準備したスライドに試料を接着

顕微鏡検査用基板ホルダー

ラップした試料は、ここでガラス・スライドに接着され、反射率が適当なエポキシ樹脂が使われます。
(例:エポキシ・パック301、RI 1.54)ラッピングされたチップの乾いた面にレジンを薄く拡げ、スライドのラップされた面にその岩石面を載せます。
気泡を抜いたら、接着治具(例:右図のBJ6)に入れ、加重が均一、平行になり接着厚みが実質ゼロ(例:1μm以下)になるように加圧します。

06.接着した試料をトリミング

06.接着した試料をトリミングこの段階ではチップはまだ最終ラップには厚過ぎるため、300-500μmの厚みまで削り落とします。

これは、GTS1、モデル15、CS30等のソーで行います。

右図は、76x51mmのスライドにマウントされた岩石チップをトリムしているGTS1です。

07.最終の厚みまで試料をラッピング

07.最終の厚みまで試料をラッピング薄くなった接着済みの試料は、PLJ2、PLJ7、またはCJ30精密ラッピング治具に取付けられ、最終的にご希望の厚み、(標準は30μm)更に研磨する場合は40μmにまでラップされます。

この治具は、必要な厚みになり次第ラッピング作業を自動停止し、作成を繰り返しても薄片全体にわたって均一な厚みに仕上がるように設計されています。

08.研磨(必要に応じて)

08.研磨(必要に応じて)

WG2研磨システムを使って研磨すると、高反射率、超平坦、端面の逃げ極小化等の高度な仕様に対して最高の結果が得られます。
PM5オートラップ/ポルを含むPM5シリーズの装置を使うと、WG2は、モーター駆動のカルーセルと速度調整器を使う研磨板とは独立に試料を回転します。
これにより高品質の薄片が早く、簡単に、確実に作れます。
コンパクト40研磨システムにWG3研磨ヘッドを付けると小規模でも同様の機能が得られます。

特殊加工技術

標準的な薄片製作に加え、ロジテック社のシステムは以下に記述するように、極薄薄片、コンクリート、流体包有物、石炭、粘度等、特殊技術を必要とする材料でも十分対応できます。

08.研磨(必要に応じて)

デリケートな性質を持つ土の薄片作成には、構造損傷や分解を避ける注意が必要です。
加工を始める前に、まず土から水分を取り除きます。
通常は、試料を換気の良い場所に、重量が一定になるまで数日保存し、その後40℃のホット・プレート上で48時間乾燥します。これによって土は、IU30真空含浸ユニットで含浸(標準工程2)出来る状態になります。
レジンが固まったら、GTS1かCS30ソーでその表面をトリムします。
土の損傷を避けるため、エチレン・グリコールのような非水溶性の液が冷媒として使われます。
この際に水を使ってはいけません。
次に試料は、標準工程3で説明された技術を使い、切断面を「フリー」ラップします。
酸化アルミの研磨剤が含浸された材料と合わせて使われ、水分の少ないキャリア流体、即ちエタン・ジオールとなります。
土の粒子は大量のレジンを含み、初めは15μm、次に9μm、最後に3μm、というように2~3回のラップが必要でしょう。

次にラップを洗浄し、歪まないうちに素早く接着します(標準過程5)が、大型試料では、接着ユニットBJ6やBJ12などの高圧ステーションが必要になります。

接着したら、工程6として、冷媒としてエチレン・グリコールを使いながら試料を薄く加工します。
続いて工程7として、再び数回にわたりラッピングします。研磨剤のキャリア流体には、エタン・ジオールなどの非水溶性のものを使用します。
最終研磨は試料を吸引チャックで保持し、ソルダーブレードかペロン・パッドの上で行います。

コンクリート

PLJ7大型精密ラッピング治具は、土、コンクリート、セメント、岩等の精確な解析を行う大型薄片の精密ラッピングに使えます(152x102mm迄) PLJ7大型精密ラッピング治具は、土、コンクリート、セメント、岩等の精確な解析を行う大型薄片の精密ラッピングに使えます(152x102mm迄)

コンクリートの薄片は多くの試験:多孔性決定、包有解析、ミネラル構成等用に作成されます。
解析、特に空孔率解析を容易にする目的で、コンクリート内の気孔が着色レジンで含浸され、より明らかに特定されます。通常、染料はIU30真空含浸ユニットで試料に含浸する前のレジンに混合されます(標準工程2)。
含浸すると着色レジンが全ての空隙に入り、周辺の材料と明瞭に区別できます。必要なら蛍光染料も使えます。
しかし、着色の有無に関わらず次の加工をするために、コンクリートの試料には含浸が必要です。その後は、若干の違いはありますが、ほぼ標準の工程を経て最終の薄片標本が出来ます。
工程1で試料がトリムされますが、水の影響を避けるため、エチレン・グリコールのような非水溶性の液が媒体として使われます。

流体包有物の観察

流体包有物解析に使う試料は、流体包有物が微小でラップ面の凹凸に埋もれてしまうため両面を磨き上げる必要があります。
チップはまずトリムされ、フリーラップされます。
(標準加工工程の1と3)ラップ後チップはフリー研磨 (即ち研磨パッドや柔らかい金属板の負荷だけで)研磨されます。
次に研磨面を下にして、用意されたガラススライドに、仕上げ後薄片がマウントから外されない場合はレジンで、後で外される場合はワックスや他の仮接着剤でマウントされます(工程5)。
最後に仕上がり厚みが80~250μの標準薄片になるように、シニング、ラッピング、研磨が行われます(工程6-8)。
また、極薄薄片の場合は、その記述された技術を用いてシニング、ラッピング、研磨が行われます。

石炭

この石炭薄片標本には、多くの花粉粒子が観られます石炭は特に加工が難しい材料です。
元来脆く、小さな力で歪み、熱に敏感、また、不透明で顕微鏡下で構造を観るには10μm以下の薄さにする必要があります。
直径25mmのプラスチック・モールドに特製の鉄製ベースを差し込み、そこに石炭を入れて含浸します(工程2)。
レジンが固まったら、含浸した試料をモールドから取り出し、GTS1かCS30ソーでその表面をトリムします。
適当なPM5システムでWG2研磨ヘッドかコンディショニング・リングを使いオプション的にトリムした面をラッピング/研磨します(工程3)。
非ラップ面には適当な番号のレジン[pips]を置きます。
これらは石炭薄片の支えになります。

このpipsは、PLJ2精密ラッピング治具上で50~80μm迄薄く、また治具にガラススライドをセットした状態で、反対側のガラススライド面と平行になるように、ラッピングされ、試料の研磨面はこのpipsに接着されます。
レジンが固まったら、金属のモールドベースを含む余分な材料を取り除き、標準の加工工程6-8に従って最終の8-10μmになる迄ラッピング/研磨します。

オート・ラッピング・プレート平坦度制御の効果

08.研磨(必要に応じて)

ロジテック社がPM5オートラップ、PM5オートラップ/ポルおよびLP50精密ラッピング・装置に導入したオート・ラッピング・プレート平坦度制御技術は、最近の薄片作成技術開発の中で最も重要な開発です。
この技術でラッピング加工の最も難しい仕事であるプレート形の制御が、殆ど完全に解消します。
加工中のプレート形変化は、エッジを丸め、試料にテーパーを付けるため、これまでは少なくも毎日一回は確認と調整が必要でした。
ラッピング・プレート平坦度制御は、薄片作成の品質と繰り返し再現性を改善しました。
これはオペレーターにとって大変な良い知らせです。
浮いた時間は大きく、それを機械管理や解析、薄片作成システム全体の改善などに使えます。

極薄薄片

極薄薄片には、両面研磨が必要です。
トリムされた岩石チップは、標準工程3に従って、まずフリー・ラップされます。
次にLP50やPM5オートラップ/ポルなどのロジテック社のラッピング/研磨装置のコンディショニング・リング内で「フリー」研磨されます。

研磨が終ると、岩石チップは研磨面を下にして、用意されたガラススライドにマウントされ(工程5)、薄くされ(工程6)、厚み25~30μにラップされます(工程7)。
その後ラップされた薄片は、軟質金属板上で最終所望厚み(例えば10μm以下)まで、PP5精密研磨治具を使い研磨されます。

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